景気 economic environment 2005 5 10

「日本経済は、骨粗鬆症か」
 繰り返しになってしまいますが、
重要なことなので、もう一度書きます。
 バブル経済崩壊後の経済的な低迷は、「三つの過剰」が原因と言われています。
(過剰な設備、過剰な債務、過剰な雇用)
 だから、こうした問題を解決すれば、かつての「元気な日本経済」に戻る。
そう考えていた人が多いでしょう。
 しかし、現実は、どうか。
輸出が好調な大企業を除けば、相変わらず、不景気なままです。
 確かに、バブル経済の崩壊から、もう10年以上も経過し、
「三つの過剰」は解消されたと思います。
 しかし、新しい問題が顕在化しつつあるのです。
それは、「人口ピラミッドがひっくり返る時」です。
少子化は、市場規模の減少を招き、当然、企業の売上高の減少を招くのです。
 こうなると、企業は、どう行動するか。
売上高が増えないならば、人件費を減らし、利益を確保するか。
(正社員が減って、パートやアルバイトが増えるかもしれません)。
国内市場をあきらめて、海外市場(米国や中国)で稼ぐか。
(国内工場を閉鎖して、米国や中国に工場を建設するかもしれません)。
 どちらのケースでも、一部の日本人は所得が増えるでしょうが、
大部分の日本人は所得が減少するでしょう。
つまり、少子化は、日本にとって、骨粗鬆症となります。
 さらに、不幸なことが起きるでしょう。
少子化は、市場規模の減少を招きますが、
こうした場合に、企業が仲良く、売上高を減少させるとは限らないのです。
予想外に売上高を伸ばす企業もあれば、予想外に売上高を減少させる企業が出てくるのです。
つまり、同じ業界にあって、勝ち組と負け組に分かれてくるのです。
それが、固定化してくると、階級社会の出現になります。
 こうなってしまうと、また昔に逆戻りとなります。
そして、それは、「資本主義の失敗」となるでしょう。
「資本主義」とは、本来、人間を幸福にするシステムであるべきです。
 「三つの過剰」が解消された今、
政府や企業は、真剣に少子化対策に取り組むべきです。

書評 book review 2005 5 3

書名 「人口ピラミッドがひっくり返るとき 高齢化社会の経済新ルール」
著者 ポール・ウォーレス
翻訳 高橋健次
出版社 相思社

 低迷する個人消費、低迷する株価、低迷する地価。
こうしたものは、バブル経済の崩壊が原因で、傷口が治れば、
つまり、過剰な設備、過剰な債務、過剰な雇用が改善されれば、
日本経済も、元に戻ると考えていませんか。
 しかし、三つの過剰と言われた「設備、債務、雇用」が改善しても、
日本経済は、さえない状態が続いています。
 バブル経済の崩壊という「外傷」に目を奪われていますが、
もっと根本的な問題が潜んでいませんか。
 それは、「人口ピラミッドがひっくり返る時」です。
日本経済も、日本の社会制度も、人口構造がピラミッド型であることを前提として、
成り立っているはずです。
そのピラミッドが、ひっくり返る時、どうなるか。
 この本は、日本の将来を、少し悲観的に考えていると思います。
しかし、たとえ人口が減少しても、
一人一人の教育水準や知的水準が上がれば、人口減少分を補えると思います。
そういうわけで、娯楽やファッション、グルメに夢中になっている場合ではありません。




















































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